やすらぎ企画

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短編小説

連載③ そこに置いたのは

短編小説 

 

 

その「まあるい袋」になっていた物、

持ち上げると、ずっしりと重い。

「あっ、あれだな」

ふんふん♪   らんらん♪

両手でかかえればいいものを

横着をして、片手で持ってゆく。

と、

ななんと、「まあるい袋」は

ビリビリと嫌な音を立てて破れ、

コンクリートの上に落ちた。

 

「あーあーあーあっ」

 

としか、言葉が口から出てこない。

そうこうしていると、やぶれた袋から、

ぎょっと、剥きだしになったものは

スイカ。

しかも、見るも無残な姿で。

そこからが、まだ酷いといったら・・

駐車場は傾斜があるため、スイカは

カタチがあるような、ないような姿で、

ゴロンゴロンと、道路へいくじゃないですか。

 

「おい、待て、待て」

 

スイカを追いかけるなんて、

そうあることじゃない。

と、自分の追いかけるスピードが

まるでついていけないと、

頭のどこかで、衰えは否めないなと感じつつ、

どうにか、道路までには追い付いた。

大事に抱えて、「ごめんねぇ」と

情けない姿のスイカを撫でてやり、

どこか、自分に似ているような、

愛おしさが湧いてきた。

 

さて、これを玄関に置いてくれたのは、

一体、誰なのか!?

思い当たる人物は沢山いる。

 

くしゃけたスイカを分解し、

頬張りながらひとり考える。

あのひと? このひと? 向こうのひと?

「ふむ・・」困った。

ワタシが、困ったというのは、

心当たりの人に、

こちらから、お礼の電話をするのだが、

「どうも、スイカを頂きまして・・」と

100%、ドンピシャの人なら良いが、

検討違いの人に云ったら、相手に失礼だし。

悩む・・。

 

しかし、おそらく

あの人物であろう。

名前は、というより、ワタシが

通称で呼んでいる人、それは

「ぴーちゃん」

本名は、もちろん違う、年齢も

およそ、通称で呼ぶにふさわしとは、

思えない。

けれど、ぴーちゃんは、ぴーちゃんである。

ぴーちゃんは、ちょっと不思議ちゃんなのである。

 

 

Nori

 

 

 

 

 

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