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短編小説

連載② 「物?」

短編小説 

蒸し風呂のような7月の夕方

愛車である、ターボ付きの軽自動車が駈ける。

クーラーをバンンバンに効かせても車内は28°

ましてや西向きに運転すれば、否応なしの

汗だく汁だく状態です。

人一倍、身心ともに熱がりなのですから。

 

 フロントガラスに、真っ赤な太陽が
燃え盛りながら沈んでいく。
「綺麗だなぁ」と思える余裕もなく、
まともに見られたものじゃないから、
運転用のメガネをしたまま、
その上から掛けることができる、
優れもののサングラス、↓コレ
去年の「さよなら夏バーゲン」で
安値でネット購入した。
とても気に入っているが、
気に入らない点が一つある。
それは、分厚いのでメガネケースに入らなく、
またそれが入るほどの大きなメガネケースが無い。
なのでハダカでついハンドバッグに入れるものだから、
小さなキズまるけなのです。

 

キズといえば、そうね、このクルマも

半年前に、ちょっと飛び出た電柱に擦って、

左サイドミラーが、宙ぶらりんになった。

だが、まだ深手は追っていないので、

お客さんの送迎にも活躍する現役さんである。

 

我が店が見えてきた。

駐車場に入るときは「左折」する。

以前、祖父が、農作業が終わり、

軽トラックに藁を積んで駐車場に

入ってくるとき、

この「左折」のところで、事故を起こした。

左側後方から走ってきた自転車を巻き込み、

エラいことになった。

といっても、祖父は「でーじょーぶかぁ?」と、

呑気なことを言ってるだけ。

ワタシは、「ガシャン」と音がしたので、

慌てて店から飛び出してきたときは、

男子学生がイタイイタイと、足を押さえていた。

びっくりしたワタシは、大丈夫?と

いいながら、

恐る恐るズボンの裾を上げたら、たまげた。

 

スネの骨が見えてる!

 

「ぎゃっ、こりゃ、えらいこっちゃ」

「じ、じーちゃん、救急者、救急車!」

じーちゃんは

「ほーきゃぁ?」またもや呑気である。

ほどなく、救急車が到着して、

救急隊が応急処置をしているのを見て、

「大変な怪我ですよねえ」と小さな声で質問したら、

「そうですねぇ、擦過傷でしょう」

「えっ?ほほほ骨が、見えてまして・・」

「あぁ、靴下ですか?」

なんとまあ、あわてん坊の、のり先生です。

「てっきり、骨だと思って・・・」

軽症でよかった、と胸を撫でおろした。

でも怪我は怪我ですから、

もちろん救急車に同乗して病院に行きました。

 

無事に男子学生を家まで送り届け、

腰がイタくなるほど、アタマを下げてきました。

アタマがクラクラしながら帰宅したら、

じーちゃんが小さくなってた。

「大丈夫だって」

「そうか、よかった」

「気を付けないとね」

「・・だな」

 

ひと段落したら、思い出した。

先ほどの騒ぎで、店の玄関の前に、

「物」とおぼしきものが置いてあった。

 

「なんだったんだろう?」

 

すっかり、辺りも暗くなっていた。

店の玄関の前にきて、

「あっ、やっぱりあった、あった」

その物は「まあるい袋」になっていた。

 

 

Nori

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